「ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ」に行ってきました

ヨシタケシンスケ展で考えたDV問題

先日、当会のプログラムに参加してくださっている女性たちと「ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ」に行ってきました。会場には、ヨシタケさんが日々描きためた7,500枚以上のアイデアスケッチが壁一面に並び、絵本の世界そのままのユーモアと温かさ、そして「ものごとをいろんな角度から見てみる」自由な発想があふれていました。

ヨシタケさんの作品には、「りんごかもしれない」「つまんないつまんない」など、当たり前に思える日常の中に「もしかしたら?」という問いかけが散りばめられています。子どもの素直な疑問や、誰もが抱える小さな不安や違和感を、やさしく、時にコミカルに描き出すその視点は、私たちに「自分の感じたことを大事にしていいんだ」と教えてくれます。

ヨシタケシンスケ展の会場で感じたのは、「自分の気持ちや違和感を、まずは自分自身が認めてあげること」の大切さです。ヨシタケさんが会社員時代、ストレスや愚痴を小さなスケッチに描きためていたというエピソードも紹介されていました。他人に見せるためではなく、自分の心を守るための「小さな声」を大事にする–これは、DVの被害に苦しむ人たちにも通じるメッセージだと感じます。

DV問題の解決には、法的・社会的な支援ももちろん不可欠ですが、何より「自分の感じていることは間違っていない」と思えること、そして周囲がその声に耳を傾けることが出発点になるはずです。ヨシタケシンスケさんの絵本や展覧会が教えてくれる「多様な見方」「自分の気持ちを大切にすること」は、DVをはじめとした人権の問題を考える上でも、とても大切なヒントになるのではないでしょうか。

「もしかしたら、あなたの苦しみも、誰かのせいじゃなくて、社会の仕組みや思い込みが原因かもしれない」。そんな風に、ヨシタケシンスケ展の帰り道、もう一度自分や身近な人の「小さな声」に耳を澄ませてみたいと思いました。