映画は「作品」だけでなく「現場」でもつくられる

――製作スタッフ全員受講のハラスメント研修を終えて

本日、映画業界の製作スタッフ全員を対象としたハラスメント研修を実施しました。

俳優、制作、技術、マネジメント——
立場も役割も異なる方々が、同じ時間を共有し、「現場の空気」について考える時間となりました。

今回、私が中心にお話ししたのは
「バイスタンダー(傍観者)」の存在です。

多くの現場では、

「加害者が悪い」
「被害者が声を上げればいい」

という二項対立で語られがちです。

けれど実際には、その周囲にいる人たちの態度が、
現場の文化を決定づけています。

・見て見ぬふりをする
・笑ってやり過ごす
・空気を読んで沈黙する

それらは中立ではありません。

沈黙は、時に明確な加担になります。

映画制作の現場は、

・期間限定のチーム
・上下関係が明確
・「作品のため」という大義名分
・長時間労働
・夢や憧れを背景にした若手の多さ

といった特徴を持ちます。

そのため、

「今ここで波風を立てたくない」
「次の仕事がなくなるかもしれない」
「監督に逆らえない」

という心理が働きやすい構造でもあります。

この構造こそが、
ハラスメントを“起きやすくし”、
そして“続きやすくする”のです。

今日の研修では、問いかけをしました。

  • その場でできる小さな一言は?
  • 後から声をかけることはできないか?
  • 「笑わない」という選択はできないか?

バイスタンダーは、
現場の空気を変える力を持っています。

大きな正義感で立ち向かう必要はありません。

ほんの小さな違和感に気づき、
「それは違うかもしれない」と心の中で線を引くこと。

そこから始まります。

映画は人の心を動かす芸術です。