映画 セイントフランシス

セイント・フランシス (2019)

うだつがあがらない日々に憂鬱感を抱えながら、レストランの給仕として働くブリジット(ケリー・オサリヴァン)、34歳、独身。親友は結婚をして今では子どもの話に夢中。それに対して大学も1年で中退し、レストランの給仕として働くブリジットは夏のナニー(子守り)の短期仕事を得るのに必死だ。自分では一生懸命生きているつもりだが、ことあるごとに周囲からは歳相応の生活ができていない自分に向けられる同情的な視線が刺さる。そんなうだつのあがらない日々を過ごすブリジットの人生に、ナニー先の6歳の少女フランシス(ラモーナ・エディス・ウィリアムズ)や彼女の両親であるレズビアンカップルとの出会いにより、少しずつ変化の光が差してくる――。(公式ページより)

これまで映画で描かれることの少なかった生理、避妊、妊娠、中絶といった女性の身体にのしかかる負担やプレッシャー、さらにレズビアンカップルが直面する社会的な差別といったリアルを、軽やかに脚本に落としこんだのは今作で主演も務めるケリー・オサリヴァン。欧米では「先駆的」という表現が多く使われた本作は、ケリー・オサリヴァンの自伝的要素を織りこんだオリジナル脚本デビュー作。「女性に生理がなかったら地球には誰も存在しないのに、若い頃から生理のことは隠すように教育されている」。この女性が毎月向き合う日常の当たり前はタブーとされ、キレイな部分だけが美化されている現状に疑問を感じ、女性の心身の本音を見せたかったという。
グレタ・ガーウィグの『レディ・バード』(17)の女性の描き方に触発され、俳優として多くの脚本を読んできた経験を生かして本作の執筆を開始。社会問題を上手に取りこみながら、大人だからこその苦悩と揺れ動く心情、そして今を生きる人たちの本音をユーモアと感動を交えてナチュラルに伝える凄腕は、まさにグレタ・ガーウィグの才能を彷彿とさせる。今後の作品と活躍にも大きな注目が集まる。(公式ページより)

劇場公開は既に終了しましたが、ネットで鑑賞できるようです。

年齢を問わず、女性みも女子にも男性にも男子にもお勧めです。

予告編はこちら

ご覧になった方は、ぜひ感想をお寄せください。

満徳寺(縁切寺)に行ってきました

エープラスの活動の一つである、DV被害女性のサポートグループ「わかちあいの会※」のメンバーの女性たちと、群馬県の満徳寺を見学してきました。

縁切寺・駆け込み寺というと、離縁できるまでの期限を尼寺で修業しながら保護してもらうというイメージでいたのが、まったく違うのだとわかりました。

敷地内に資料館をみんなで見学しました。なかなか見ごたえのある資料館です。

江戸時代は縁切寺法があり、満徳寺と鎌倉の東慶寺の2か所(世界でも日本にしかないそうです。)が幕府公認の縁切寺でしたが、ここに駆け込むのはあくまで最終手段ということです。

縁切寺法は今でいうDV防止法といったところでしょうが、よくできたシステムだと驚きました。

満徳寺には役人がいて、寺の中に裁判所のような機能があり、そこでは”離婚調停”が男性の役人によって行われていたそうです。そして、そのシステムでは、駆け込んでくる女性に綿密な聴き取りを行い、女性の意思が本物かどうかを確認したり、親族を呼び出して仲裁できないかを聴き取ったり、本人(加害者)を呼び出したり等、様々な離縁方法を模索したそうです。

この満徳寺は千姫も利用したということもあって、徳川家との縁は深いのですね。お寺のあちこちに葵の紋がありました。

もともと江戸時代の結婚制度は家と家の政略結婚の要素も大きかったわけで、武家同士の離縁の場合には、お家どうしのギクシャクも発生してしまうわけですから、このような制度が必要だったのだろうと思われます。ですから、必ずしも女性救済制度とは言い難いわけです。縁切寺を利用して離縁できた女性たちはその後幸せに生きることができたのだろうか…と考えてしまいました。

そして、満徳寺資料館には縁切りと縁結びのトイレがあって、縁切りや縁結びの願いを専用のお札に書いてそこに流すのです。「縁切り・縁結びお札セット」は郵送でも受け付けてくれているそうです。

満徳寺内には様々な木々や植物が植えられていましたが、ちょうど枝垂れ桜が見頃でした。

今回のように、学ぶこともでき、遠出して気分転換もできる企画は好評でしたので、次は東慶寺の社会科見学を計画しようと思います。

※「わかちあいの会」は毎月第3日曜日に開催しているDV被害女性のサポートグループです。

東京都北区男女共同参画情報誌「ゆうレポート」

東京都北区では、男女共同参画について区民の皆さまに知っていただくため、情報誌「ゆうレポート」を発行しています。

そこで、これってDV?~DVの被害・加害に気づいたら~(PDF:2,399KB)

を掲載していただきました。

関心のある方にご紹介いただけるとうれしいです。

「女性による女性のための相談会」報告

当会も実行委員会に所属している「女性による女性のための相談会」が終了しました。プレスリリースの一部を掲載いたします。

「女性による女性のための相談会」の結果(1月9日17時確定)

女性による女性のための相談会実行委員会

 2021年11月2日、政府が閣議決定した自殺対策白書からは、女性の自殺率が増加したことがわかりました。さらに12月29日には、新宿区歌舞伎町で子ども2人と無理心中を図ろうとした女性が、あやまって息子を転落死させてしまい逮捕される事件がありました。  

 新型コロナウイルス感染拡大防止のために事業所が営業自粛や閉鎖に追い込まれる中、女性たちは仕事も生活も追われ、孤立が深刻化しています。

 2021年クリスマスから22年正月休みまでの間、都内各所では相談会が実施されましたが、炊き出しや生活相談に並ぶ女性の姿は増加しています。

 男性には相談しにくい生活まわりの困りごとや、自分の悩みや不安があっても家族のことを優先させる女性は、自分のことを後回しにせざるを得ません。

 労働組合、市民団体、弁護士会など女性有志が本相談会実行委員会が設立して1年が経とうとしていますが、状況は悪化の一途をたどるばかりです。

「女性による女性のための相談会」では、相談(労働、生活、家庭/家族、心と体の健康、妊娠・出産など)を受け付けるだけでなく、生野菜や果物などの食糧や生理用品を含む生活必需品も配布しています。しかし、相談会に足を運ぶ女性の多くは、こうした一時的な支援と合わせて継続的に悩みを相談できる相手や居場所を必要としています。

 本実行委員会では、相談に来た女性たちへの伴走支援を目的として、2021年3月、7月、12月と相談会を実施してきました。

□主催:女性による女性のための相談会実行委員会

□後援:東京都/日本労働弁護団/日本労働弁護団女性労働P T /第二東京弁護士会

□相談会

日時:2021年12月25日、26日、2022年1月8日、9日の4日間に実施 

<12月25日、1月8日は11:00-16:30(受付最終)、12月26日,1月9日は10:00-16:00(受付最終)>

場所:新宿区立大久保公園(東京都新宿区歌舞伎町2-43)の特設会場

相談内容:生活、労働、D V被害、性被害など

対応言語:やさしい日本語、英語、ベトナム語、手話対応

トランス女性の相談も受け付けている

□スタッフ、ボランティアの人数

・9日 実行委員会スタッフと当日ボランティア 計99人

・8日  実行委員会スタッフと当日ボランティア  計109人

・25日 実行委員会スタッフと当日ボランティア 計97人

・26日 実行委員会スタッフと当日ボランティア 計91人

□取材に関する問い合わせ先(実行委員会・メディア対応チーム)

松元 090-9975-0848/メール chie.m.matsumoto@gmail.com

<相談結果概要>

□相談件数

 2022年1月9日:98件(17時現在) 託児7件=

(新規48件、再来訪50件(2021年3月実施の相談会以降の再来場者)

2022年 1月 8日:115件(17時現在)  託児5件

2021年12月26日: 86件(17時現在) 託児5件

   12月25日: 83件(17時現在) 託児3件

産経新聞【TOKYOまち・ひと物語】にインタビュー記事が掲載されました。 

コロナ在宅が招くDV「早めの相談を」

新型コロナウイルス感染問題が収束する兆しがなく、景気の落ち込みによる雇用や賃金への不安感が強まるなか、家庭内暴力(DV)被害の深刻化が懸念されている。問題が長期化すれば、DVがさらに悪化する可能性もある。DVの被害者援助や加害者の更生に励んできた一般社団法人「エープラス」の代表理事、吉祥眞佐緒(よしざき・まさお)さん(51)は「問題が大きくなる前の早い段階で相談してほしい」と呼びかけている。

 エープラスは平成18年、DVを受け、悩む女性らが互いの経験を語り合う「わかちあいの会」の開催をきっかけに設立された。電話相談や警察への同行などの被害者支援だけでなく、加害者側が自らの行為を見つめ直し更生するプログラムなども実施している。 (以上、産経新聞より引用)

 非日常の有事の際には、家庭内の弱者がストレスのはけ口にされるなど、DVや虐待が起こる可能性が高まってきたのですが、今回の新型コロナウィルスについては全世界的な感染拡大の不安があり、日本国内でもDVや虐待について注意喚起されることにつながりました。

 明らかに身体的暴力がなくても、家庭内で夫婦間の力の不均衡が固定化している場合、”夫役割””妻役割”に夫婦のどちらかがこだわりを持っている場合は要注意です。

 今回のコロナ禍をきっかけに、夫婦関係の改善がはかれたという方も多く、そのようなお話をうかがうと、聴いているこちらの気持ちも軽くなります。


ぜひ、これをきっかけに、夫婦でお互いの関係が対等かを見直すしていただきたい。そして、どんな些細(ささい)なことでもいいから、問題が大きくなるまえに相談にきてほしいと思っています。

ひとりで子どもを育てるたいへんさ

インターネット記事からの引用ですが、生後3カ月の赤ちゃんが、自宅で放置され死亡した事件で、逮捕された女が、生活費を稼ぐために外出していたと供述していることがわかった。

坂元愛容疑者(30)は、東京・台東区のマンションに、生後3カ月の赤ちゃんをおよそ16時間放置して、外出した疑いが持たれている。

坂元容疑者は、赤ちゃんと2人暮らしで、「生活費を稼ぐために外出していた」と供述しているという。

胸の痛い事件が続いています。

このような事件を聞くたびに、この母親は孤独だったのだろうな、誰にも相談できなかったのだろうなと思います。相談したところでどうなることでもないと、あきらめていたのかもしれません。

誰かに相談するのはとても勇気が要ります。まして、行政に相談するのは気持ちのハードルが高いと思います。

もし、行政に相談したとしても、この女性が利用できる社会資源は何でしょう。何処に相談に行ったらよいかわからずに諦めてしまうかもしれません。この母親が相談できるタイミングは何回もあったと思うのです。

でも、相談したところで、「若いんだから仕事を探しなさい」と言われてしまうかもしれませんし、もしよい仕事を紹介してもらったとしても、ゼロ歳児の保育円の入所は難関です。認可外の民間保育園や託児所は高くて、せっかく働いても保育代に給料が消えてしまうかもしれません。

ファミリーサポートは自治体によって利用しやすさに差がありますし、手続きが必要です。うまくマッチングできなければ依頼することができません。もちろん有料です。

そうすると、この母親がもし相談に行っても、生活保護制度を利用するしかないのではないでしょうか?

生活保護制度は心理的ハードルが高いと思います。ひとりでこの高いハードル江お超えて生活保護申請するのはとても強い意志と生活保護に関する情報がないと難しいだろうと思います。

そうすると、「仕事をがんばればいいや」という考えになってしまうのではないでしょうか。

「相談すればよかったのに。」「相談する機会は何度もあったはず。」

この間、という声を何度も聞きましたが、この事件の責任は相談しやすい環境を作らなかった行政や医療機関や社会全体にあるのではないかと思います。

二度とこのような悲しい事件を起こさないために、私たちの団体には何ができるのか、真剣に考えていきたいと思います。

月並みな言葉ですが「独りで悩まないで、相談してください。きっと、寄り添ってくれる人、一緒に考えてくれる人に出会うことができると思います。あきらめないで探してほしい」

NHKハートネットTVの取材を受けました

2020年6月17日に放送された、ハートネットTV「新型コロナ 虐待やDVを防ぐために」について、番組ホームページにweb記事が掲載されているそうです。https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/373/

少しだけ抜粋します。

新型コロナ 虐待やDVを防ぐために

記事公開日:2020年07月01日

新型コロナウイルスの影響で、長くなった家での時間。DVや虐待など、家庭内での暴力のリスクが高まっていると言われています。緊急事態宣言が解除され、今まで見えてこなかった実態が少しずつ明らかになってきました。家庭という「密室」で何が起きているのか。その実態を探り、今求められる支援について考えます。 増える夫婦間のDV 背景に経済的要因も“見えない”子どもへの虐待アウトリーチ 広がる地域の見守り

増える夫婦間のDV 背景に経済的要因も

新型コロナウイルスの影響が大きかった4月と5月。全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数は13000件余りと、前年の同じ月と比べるとおよそ2割から3割増えていました。

画像

出典:内閣府 男女共同参画局

都内にあるDV被害者の支援団体代表の吉祥眞佐緒さんは、外出自粛や在宅勤務が広がった3月から相談が増加したと言います。

画像(DV被害者支援団体エープラス代表 吉祥眞佐緒さん)

「コロナで1日中家にいて顔を突き合わせなければならない生活が、お互いにどれだけ負担なのか誰も想定していなかったので、もともと夫婦の関係性が対等ではない、言いたいことがお互いに言い合えるような関係ではない方々は本当にコロナの影響をもろに受けてしまって、ダメージを受けてしまっているのではないでしょうか」(吉祥さん)

これまで、1日10件程だった相談件数は、40件以上に増加しました。日常の些細なやりとりが、暴力にまで発展するケースが多いと言います。さらに、相談内容を丁寧に聞きとっていくと、「収入が減った夫が妻に十分な生活費を渡さない」「家計が苦しくても夫が怖くて相談できない」など、背景に経済的要因があるケースが増えてきていることがわかりました。

「経済的な相談はひっ迫した相談が増えてくると思いますし、お金がないことによるストレスというのはすごく大きなものになる可能性が高いので、身の危険を伴うような暴力が頻繁に起きることも増える可能性があるなと思っています」(吉祥さん)

経済的な要因がDVの背景にあるという指摘に、夫婦関係やDVなどの専門家で臨床心理士の信田さよ子さんも同意します。

画像(臨床心理士 信田さよ子さん)

「自分に経済力があることが力の根源であるという人たちが、収入が不安定になるとものすごく不安になる。おまけに四六時中顔を突き合わせるなどの要因がいくつか重なると、その経済的要因がDVにつながるリスクが非常に高まると思います」(信田さん)

そうしたなか、DVに悩む人にとって問題となっているのが、国から支給される10万円の特別定額給付金を受け取れるかどうか、ということです。

後半は児童虐待についてです。ぜひ番組サイトをご覧ください。